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1型糖尿病患者の大村詠一が日々の療養生活や研究情報などを患者の視点でつづっていきます

高血圧薬が、β細胞の破壊抑制に効果があるかもしれないという論文が発表

高血圧の薬が、新規発症の患者(≒β細胞が全ては破壊されておらず、インスリンの自己分泌が残っている)のインスリン治療の補助剤になるかもしれないという論文が掲載されています。

原文は下記リンク先で読めます ↓

Verapamil and beta cell function in adults with recent-onset type 1 diabetes | Nature Medicine

 

 

私が目にした上記の論文を解説した記事は、こちら↓

 

www.natureasia.com

 

 

糖尿病を新規発症した未治療の患者24人を対象に、二重盲検法によるプラセボ対照の無作為化第II相臨床試験を行って、ベラパミルの効果を検証した。11人の被験者にはベラパミル投与と標準的なインスリン治療を1年間行い、残りの被験者にはインスリン治療だけを行った。その結果、ベラパミルがβ細胞の機能の保持に役立つ上に、病気の進行に伴うインスリンの必要量の増加を抑えることが分かった。またベラパミルは、低血糖発作の発生率も大幅に低下させた。 

 

 

きっと n 数が少ないと批判もあるかもしれませんが、日本では1965年、米国でも1982年から承認されているような歴史の長い薬が、β細胞の破壊抑制につながり、ハネムーン期が長くなったり、SPIDDM(緩徐進行1型糖尿病)の方のインスリン枯渇への期間を少しでも伸ばせるのであれば期待が高まりそうな研究ですね。

 

 

ただ、説明記事でもまとめられているように、今回は成人の患者だけに限った臨床試験だったようなので、若年の患者ではどうなるか?長期期間服用での安全性はどうか?もっと大人数で調べたらどうなるか?など様々な検証は必要となりますので、今後の経過を追跡したいなと思います。