Happy T1D Life

1型糖尿病患者の大村詠一が日々の療養生活や研究情報などを患者の視点でつづっていきます

1型糖尿病ならば誰でも障害年金がもらえるのか?

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頼むよ、貴重な移動中の仕事時間を削ってまで一言申さないといけないような記事を出さないでくれよと心の中で思った記事はこちら↓

あ...心の声もれ出てる...苦笑

 

www.chunichi.co.jp

 

 

まず、前提として2016年6月1日から従来の障害認定基準において「代謝疾患(糖尿病)による障害」に関わる内容が改正されています。(その種類によらず)糖尿病については、「治療を行ってもなお、血糖コントロールが困難な症状の方」が対象となっています。

タイトルの「支給を受けやすく」はいかがなものかと思いますが、改正についての説明記事は下記をご覧ください。

 

 

www.dm-net.co.jp

 

 

そして、障害年金には、糖尿病の症状で初めて病院を受診した初診日に厚生年金に加入していた場合に対象となる「障害厚生年金」と、初診日に国民年金に加入していたり、20歳未満だったり、65歳以上の場合だったりした方が対象となる「障害基礎年金」があります。

このあたりについての詳しい記事は下記であり、糖尿病の方で、日常生活にはほとんど支障がないものの労働については制限がある方が障害厚生年金3級」に該当することがあるようです。

 

 

sakuya-shougainenkin.com

 

 

話は戻って、冒頭で紹介した中日新聞の記事で紹介されていた患者さんは、20歳未満で初診日を迎えているようで「障害基礎年金」の対象者の方のようです。

今までは、障害基礎年金一級もしくは二級と判断されていたようですが、改定により3級程度の状態と判断され、障害基礎年金には三級がないために受給打ち切りとなっているという状態のようです。

 

 

ここで、考えるべきは、「障害等級の三級という判断が間違いないのか?」ということももちろんなのですが、そもそも「今までの障害等級は適切だったのか?」ということもあると私は思います。

 

 

私も以前相談を受けた方に、日常から体にしびれが出ていて、通院も支援者が行けないような状態の方がいらっしゃり障害年金の受給をむしろ勧めたことがあります。

 

 

私は、障害年金は、病名で受給が決まるのではなく、個々の病気の状態で決まるべきだと考えています。

 

 

皆さんもこの機会にぜひ「障害年金」について知り、考えてみてはいかがでしょうか?

高血圧薬が、β細胞の破壊抑制に効果があるかもしれないという論文が発表

高血圧の薬が、新規発症の患者(≒β細胞が全ては破壊されておらず、インスリンの自己分泌が残っている)のインスリン治療の補助剤になるかもしれないという論文が掲載されています。

原文は下記リンク先で読めます ↓

Verapamil and beta cell function in adults with recent-onset type 1 diabetes | Nature Medicine

 

 

私が目にした上記の論文を解説した記事は、こちら↓

 

www.natureasia.com

 

 

糖尿病を新規発症した未治療の患者24人を対象に、二重盲検法によるプラセボ対照の無作為化第II相臨床試験を行って、ベラパミルの効果を検証した。11人の被験者にはベラパミル投与と標準的なインスリン治療を1年間行い、残りの被験者にはインスリン治療だけを行った。その結果、ベラパミルがβ細胞の機能の保持に役立つ上に、病気の進行に伴うインスリンの必要量の増加を抑えることが分かった。またベラパミルは、低血糖発作の発生率も大幅に低下させた。 

 

 

きっと n 数が少ないと批判もあるかもしれませんが、日本では1965年、米国でも1982年から承認されているような歴史の長い薬が、β細胞の破壊抑制につながり、ハネムーン期が長くなったり、SPIDDM(緩徐進行1型糖尿病)の方のインスリン枯渇への期間を少しでも伸ばせるのであれば期待が高まりそうな研究ですね。

 

 

ただ、説明記事でもまとめられているように、今回は成人の患者だけに限った臨床試験だったようなので、若年の患者ではどうなるか?長期期間服用での安全性はどうか?もっと大人数で調べたらどうなるか?など様々な検証は必要となりますので、今後の経過を追跡したいなと思います。

ライブに血糖管理用にと持ち込んだスポーツ飲料を没収された1型糖尿病患者にまさかの賠償金が支払われる

正直、ありえない...と絶句してしまった1型糖尿病関連ニュースがこちら↓

nme-jp.com

 

 

没収されたのが、インスリン注射だったり、ブドウ糖だったりしたら、このようなことが二度と起こらないようにという話になっても分かるのですが...

 

 

患者としては、スポーツドリンクのルコゼードしか血糖コントロールの安定方法が選択肢としてなかったのか、ライブ会場内での物販がなかったのかが気になりました。

 

 

この患者さんの血糖管理の状態もよく分からないので、これ以上踏み込んだことを言っても仕方ないかと思いますが、「1型糖尿病」と審査書類に記載すると落ちるなど就職問題に向き合い、「1型糖尿病を持っていてもコントロールできれば、一般の方と同じように社会の役に立てる」と頑張っている方を知っている者としては、非常に残念に思ったニュースでした...

 


「病気であれば何でも許される」ような風潮に向かうのはやめてほしいと個人的には思います。

 

 

そんな自分が人前で倒れたりしないように、これからもいろんなシチュエーションに対応できるシミュレーションをしっかり行い、様々な活動を行いたいと思います。

内潟安子先生の講演「糖尿病とともに楽しく生きていく人生は?」の記事が公開!

東京女子医科大学東医療センター病院長である内潟安子先生の講演をまとめた記事が公開されていましたので、ご紹介します。

 

yomidr.yomiuri.co.jp

 

 

2型糖尿病の話がメインではありますが、非常に分かりやすく説明されていて、1型糖尿病も共通の「合併症」についての話もボロボロになった血管の様子を

古くなった水道管の内部は水垢でドロドロになっていますよね。

と想像しやすい例えで表現されています。

 

 

2型糖尿病は生活習慣だけが原因ではないこと、1型糖尿病は年代や体型に関係なく発症することなど、私もぜひ伝えたいことが散りばめられていますので、ぜひご一読ください。

 

 

続編となる「糖尿病とともに楽しく生きていく人生は?その2」の申込みは下記からできるようです↓

糖尿病とともに楽しく生きていく人生は?その2:よみうりカルチャー北千住:よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)

 

 

お近くの方は、参加してみてはいかがでしょうか?

インスリン療法中の方向け災害時に関する情報やリンク先一覧

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本日朝に大阪府などを震源とする最大震度6弱を記録する地震が発生し、亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様ならびにそのご家族の方々に、心よりお見舞いを申し上げます。

 

既に、拡散の利便性から日本IDDMネットワークや個人のSNSでも紹介しておりましたが、ログインしなくても見れるホームページが1番制限なく閲覧できるのかなと思い、熊本地震時の情報からアップデートして更新しました。

 

japan-iddm.net

 

熊本地震での支援活動の際に困ったのは、パニックで自分の使っている製剤や病院などが言えなくなっている方への対応でした。

 

可能ならば、病院の診察券やお薬手帳の写真をスマホや携帯で撮り、コピーを非常時用持ち出しバッグに入れておくといいかと思います。

上記リンク先の「インスリン製剤 一覧表:日本糖尿病学会 The Japan Diabetes Society」に丸印でもしてもらえると自分が使用している製剤と同様の効果を持つ他社製の製剤についても分かります。

 

また、停電などでインスリンを冷蔵してなくてもいいのかと不安になる方もいらっしゃるかと思いますが、短期間であれば常温でも保存可能なことが東日本大震災以後に伝えられていますので、直射日光には気を付けて、期限が違う製剤はあらかじめ防災バッグに入れておいてはいかがでしょうか?

 

http://www.novonordisk.co.jp/content/dam/Japan/AFFILIATE/www-novonordisk-co-jp/home/novocare/Temperature_control_leaf2.pdf

 

 

皆様のご無事と更なる被害がないことを願います。